好きな声優を好きで居続けるということ。

好きな声優を好きで居続ける事。

それは簡単なようで実は難しいものであり、声優オタクにとって最も幸せなことであるというのを最近感じるようになったのでここに書いておこうと思う。

 

一人の声優を好きになり、活動を追いかけるようになってから一年が経った。

最初のきっかけは些細なものだ。なんとなく好きかもしれない、その程度の気持ちだった。これはある意味では当然のことで、何故なら、興味を持ち始めた段階ではその声優のことを何も知らないからだ。最初は誰しもがそんなものではないかと思う。

そんな確証の無い”好き”を追い掛けて、少しずつその人の人となりというものを知っていく。その中で最初の”好き”が更新されていき、確立したものになるのだと私は思っている。

何も知らないという状態は、ある種、最強のモチベーションだ。何も知らないからこそもっと知りたいと思うし、与えられるもの全てが新鮮に感じられる。姿を見る度にドキドキするし、声を聞くだけで胸が躍る。だからどんなイベントも姿が見られれば楽しいと感じるし、声が聞ければ嬉しいと感じる。これって凄く素敵なものだし、絶対に忘れてはいけない感情だと思う。

 

反して、そんな状態を長く続けるのは難しいものであると私は思う。

 

人間は慣れてしまうのだ。

気が付けば顔が見られること、声が聞けたりすることが当たり前に感じてしまう。

確立されていない、"なんとなく好き"という状況に慣れてしまう。

そうして行くうちに"好き"を忘れてしまう。

 

 

少し自分の話をする。

 

もっと知りたいという一心で、私は好きな声優が出演する数多の作品、ラジオ、それらに関するイベントを必死に追いかけた。前述した通り、最初はどんな些細なことでも新鮮だったし、顔が見られるだけで嬉しかった。

 

だが、オタクは何も知らないままではいられない。追いかけているうちに、彼女のことを少しずつ理解出来るようになった。有難いことに、私の好きな声優はイベント稼働が比較的多かった。その為、この一年で様々な側面での彼女の姿を見て、聞いて、ほんの少しではあるが知ることが出来たと思う。それは間違いなく幸せなことだ。恵まれていると思った。

だが、気が付けばそれが当たり前になってしまった。何度もその姿を見て、何度も声を聞いていくうちに、慣れてしまったのだ。

顔を見てドキドキすることも、声を聞いて胸が踊ることも少なくなってしまった。

また、彼女のことを知れば知るほど、新しく知ることが出来る情報の供給は減っていく。対して、知れば知るほど分からなくなることもある。それでも、微かな欠片を求めてひたすら追い掛けた。この辺りからイベントに行っても満足出来ないことが多くなったように思う。

そして、イベントに行っても満足出来ない自分と、姿を見ても声を聞いても心が揺さぶられない自分に違和感を感じるようになった。自分は彼女のことが本当に好きなのか、分からなくなった時期もあった。"好き"がブレていたのだ。

 

話を戻そう。

つまり何が言いたいかと言うと、ただ好きなだけでは、続かないということだ。

"なんとなく好き"な状況は確かにとても居心地が良い。何も知らないからと言い訳を続け、向き合うことから逃げれば、考えることも少ないだろう。

だが、前述した通り、いつかは慣れてしまう。そうして、「自分は好きな声優のどこが好きなのか?」という問いに、オタクはいつか必ず向き合うこととなる。

そうなったとき、確立されてない"好き"は弱い。分からなくなるのだ。

だから、私は"好き"を確かなものにすることが好きな声優を好きで居続けるには大切であると考える。

声優の色々な姿を見て、知っていくことで、沢山の"好き"が更新されていくだろう。汲み取っていく中で、自分の好きな声優だけが持つ「どこが好きなのか」「何故好きなのか」を見つけていくこと。その"好き"に従えば、選択することも出来るようになる。そうやって自分の"好き"を追い求め、それを好きな声優が見せてくれたら、それって凄く幸せではないだろうか。それが好きな声優のやりたいこと、目指す道と一致していれば、これ以上ない。そうやって好きで居続けることが出来れば、好きな声優が目指す道の先にあるその瞬間は、好きで居続けることが出来た者にしか味わえない最高の瞬間なのではないかと思う。

 

私は1年追いかけて「何も知らない」から「少しは知ってる」になったと思う。

オタクと声優の関係で全てを知るなんてことは当然不可能だし、傲慢だ。

でも、我々に見せてくれる一面は少なくとも知ることが出来る。ならば、その断片的な部分だけでも知っていきたい。

まだ見ぬ"好き"を今後も追い求めていきたい。もっと知りたい。

そうして見つけた確立された"好き"はきっと自分を突き動かす強い芯になるだろう。

そしてその先にある最高の瞬間にいつか立ち会えたら、幸せだ。

 

好きな声優を好きで居続けることは簡単ではない。

でも、好きで居続けられたら最高だ。

 

ここまで読んでくれた人に問いたい。

貴方は好きな声優のどこが好きですか?