「TROISANGES」の約束と「Silent Dystopia」

いや〜〜〜、TVアニメ「Re:ステージ!ドリームデイズ♪」、良いアニメだったな…………

ってことで今回はそんなRe:ステージ内のユニットである「TROISANGES(トロワアンジュ)」から「Silent Dystopia」について考察していこうと思います。(クソ雑前置き)

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はじめに

まず、ユニット「TROISANGES」について説明しておこうと思います。
軽く前述したように「TROISANGES(トロワアンジュ )」は前クールでアニメが放送された「Re:ステージ」というコンテンツ内のユニットのひとつです。

「Re:ステージ」についてはこちら
rst-project.com

ユニット名の「TROISANGES(トロワアンジュ )」ですが、これはフランス語のTROIS(3)+ANGES(天使)で、「3人の天使」という意味です。
この「天使」という要素は当然楽曲にも反映されており、ストリングスが印象的な優雅で壮大な音楽性、メッセージ性の強い天使性が盛り込まれた歌詞、そして3人の歌声を武器に作り上げる世界観はリステージの中でも唯一無二の魅力と言えるでしょう。

まあ百聞は一見にしかず(?)ということで、1stアルバムのリード曲であり、トロワアンジュの代表曲とも言える「STORIA」を貼っておきます。

STORIA

STORIA

  • TROISANGES
  • アニメ
  • ¥250

その名の通り「天使」をモチーフに、音楽で人々の背中を押すアイドルユニット、それが「TROISANGES」です。

Silent Dystopia

2018年12月19日、そんな「TROISANGES」の2ndシングル「Lumiere」が発売されました。 そのカップリング曲が今回紹介する「Silent Dystopia」です。

Silent Dystopia

Silent Dystopia

  • TROISANGES
  • アニメ
  • ¥250

歌詞:TROISANGES(白鳥天葉(CV:日岡なつみ)、帆風奏(CV:阿部里果)、緋村那岐咲(CV:長妻樹里))
作詞:高瀬愛虹
作曲:佐藤厚
編曲:伊藤翼

トロワアンジュの曲をこれまで聴いてきた人達にとって、この曲は良い意味でトロワアンジュの印象を覆してくれたのではないかと思います。
と言うのも、この2ndシングルに当てられたテーマは「白と黒」。表題曲である「Lumiere」が「白」ならば、この「Silent Dystopia」のテーマは「黒」です。

これまでのトロワアンジュと言えば、優雅で壮大な音楽性と「天使」というユニットテーマに沿った歌詞が大きな特徴であり、「白」のイメージが強かったと思います(そもそも天使で黒を想起する人はいないと思いますが)。

しかしながら、この「Silent Dystopia」では、どこか悲劇的な音楽性、「Dystopia」を舞台とした歌詞、攻撃的な歌唱と言ったように、ダークな世界観が印象的です。これまでのトロワアンジュとは異なる「黒」が前面に押し出された内容になっており、「黒トロワ」と呼ばれるトロワアンジュの新たな一面を打ち出したのがこの「Silent Dystopia」です。

背景、世界観

歌詞を追う前に、この「Silent Dystopia」の背景、世界観について説明しておきます。

・Utopia…理想郷

・Dystopia…暗黒郷、反理想郷

・堕天使… 主なる神の被造物でありながら、高慢や嫉妬がために神に反逆し、罰せられて天界を追放された天使、自由意志をもって堕落し、神から離反した天使。  
この曲は天使が「Dystopia」から「Utopia」を目指す物語です。
この曲における「Dystopia」とは自由のない世界の象徴であり、この天使にとってそれは天界です。神に仕える為に創られたとされる天使ですが、この曲の天使は自由のない「Dystopia」(天界)から、自由を求めるが故に堕天し、この天使にとっての理想郷、自由のある「Utopia」(地上)を目指します。これが大まかな物語になります。
この曲中の天使が堕天する話に関してですが、恐らく天使が堕天した理由として唱えられている「自由意志による堕天」がモチーフになっているのではないかと思います。(Wikipedia参照)

ja.m.wikipedia.org

また、この曲のモチーフのひとつとして「ジャンヌダルク」が用いられているそうです。
ジャンヌダルクと言えば、百年戦争において劣勢を強いられていたフランス軍の士気を高め、勝利に大きく貢献した人物であり、神の声を聞いた"聖人"としても有名です。
戦場の中に生きながら、フランス軍を鼓舞し劣勢を跳ね返したジャンヌダルクに、「Dystopia」から「Utopia」を目指さんと歌い続ける黒トロワのイメージを重ねています。

この「DystopiaとUtopia」「堕天使」「ジャンヌダルク」をキーワードとして、以下から歌詞を追って考察していこうと思います。

1番Aパート

満月の旗を空に掲げた 何より高く

騒ぎ出した鳥の声が 走り出す合図

高瀬さんがブログでも言っておられましたが、この部分は「ジャンヌダルク」をイメージして作られてます。

闇夜に光る満月は、光の見えない世界で燦然と輝く光、即ち希望の象徴です。
自由や希望を失った世界「Dystopia」。そこに生きる主人公が「満月の旗」=”希望”を掲げることでこの世界に反逆し、革命を起こす。そんな物語の始まりを予感させます。

「何より高く」「走り出す合図」とあることから、自分と同じように自由を剥奪され苦しめられている誰かに向けたメッセージでもあることが読み取れ、それを含めて「ジャンヌダルク」のイメージと重なっています。

1番Bパート

昨日の自分 背にして 瓦礫の中を彷徨った

無くした世界を取り戻すように 動き出した時間

「昨日の自分」は「Dystopia」を前に動けずにいた自分。希望を失った世界に飲み込まれ、諦めや挫折の中で時間が止まってしまっている状態です。

そんな自分を背に、失った希望を取り戻す為に、「瓦礫」=「砕け落ちた希望」の中を彷徨いながら、主人公は「Utopia」を目指します。
そうして止まった時間は動き出します。

1番サビ

何度でも 何度でも 此処で立ち上がるのは

儚く消えそうな未来を 救い出したいから

「Utopia」を目指すことは決して簡単ではありません。自ら選んだその道は過酷で苦しいものでしょう。
そして、その苦しみは、自由を求め希望を持ったが故に襲い掛かるものであり、逆に言えば希望のない「Dystopia」ではその苦しみが存在しません。希望や自由を排斥することで、苦しみを無くした1つの理想郷、まさに管理社会における「Utopia」の姿であるとも言えます。

確かに希望を捨て生きる世界は苦しみもなく、楽です。
しかしながら、そんな世界では夢を見ることすら許されません。その苦しみの先にある未来の喜びを得ることも出来ません。

だからこそ、主人公は立ち上がります。
何度も挫折を繰り返し、膝をついて、それでも尚その度に立ち上がって前に進む。その先にある未来を救い出す為に。

Make a Jailbreak :: DYSTOPIA

進むべき場所が何処でも キミとキミと交わした約束

歌い続けよう 辿り着ける日まで

Jailbreak…脱獄

「Make a Jailbreak :: DYSTOPIA」は「DYSTOPIAからの脱獄」という意味です。

異なった存在である私達は「進むべき場所」も当然異なります。そして、私達は何処にでも行くことができるし、何にだってなれる。だからこそ、私達は自由を求め「Dystopia」から脱獄するのです。

また「キミ」についてですが、これは”自分と同じように膝をつき、それでも尚諦めず立ち上がる誰か"です。そんな「キミ」の存在が自分自身を立ち上がらせる勇気を与えてくれる。
また同時に、そうして立ち上がる自分自身が「キミ」を立ち上がらせる力になっているのです。だから主人公は歌い続ける。これこそが「約束」なのです。

ちなみに「キミ」というフレーズを2回繰り返すのは、単数ではなく複数に向けたメッセージであること、また、3人ユニットである「TROISANGES」のそれぞれメンバーに向けたものであることを表しています。

2番Aパート

焼け焦げた太陽 海に沈めた 何より深く

初めからそう 何処にもない 禁断の果実

・禁断の果実… 旧約聖書「創世記」に記されている、神から食べることを禁じられていた知恵の木の実。それを手にすることができないこと、手にすべきではないこと、あるいは欲しいと思っても手にすることは禁じられていることを知ることにより、かえって魅力が増し、欲望の対象になるもののことをいう。


光の元である「太陽」は希望の元です。そんな「太陽」が焼け焦げてしまっているので、光を失っている、希望を絶たれた状態です。つまり「焼け焦げた太陽」とは「Dystopia」の象徴であると言えます。

「禁断の果実」と言えば、エデンの園に暮らすアダムとイヴが、禁じられていた木の実を食べたことにより、楽園から追放された旧約聖書の物語が有名ですが、ここではその物語がモチーフになっています。

食べることを禁じられている「禁断の果実」は欲望の象徴であり、そうすべきではないとされていることを表しています。
つまり、"当たり前とされている概念"です。
自由や希望を持つことを許されない「Dystopia」において、それは"自由を求める意志"であり、「Dystopia」を「Dystopia」としている世界の考え方そのもの、マジョリティであると言えます。
しかしそんなものは本当は何処にもない。私達は自由であるはずで、そうあるべきだと主張しています。それはマイノリティな考え方であると言えるでしょう。

タイトルになっている「Silent Dystopia」ですが、恐らくこれは"物言わぬ大衆"である「サイレント・マジョリティ」がモチーフになっていると考えられます。
「Dystopia」に飲み込まれ、意思を持たない静かな多数派により構成される「Silent Dystopia」。そしてそれに声を上げて抗うマイノリティ・少数派の物語が「Silent Dystopia」なのです。

纏めると、『「Dystopia」を構成する"当たり前とされている概念"なんてものは初めから何処にもない。私達は自由であるべきだ。だから、そんなものは海に沈めてしまえ。誰にも見えないように深く。』とここでは歌っています。

これは補足ですが、闇の中に輝く「満月」も「太陽」の光無くしては輝くことが出来ません。そんな暗闇の中で掲げたのが1番Aパートの「満月の旗」であり、主人公は自らが光になろうとしたという訳です。

2番Bパート

もし違う運命(さだめ)でも 変わらず飛び出してただろう

白いこの羽が黒く染まっても 自由を求めた

人によって運命や境遇は異なります。そしてそれに応じて「Dystopia」の在り方も違います。
例えば、戦場で生きることが当たり前のジャンヌダルク
例えば、神に使える為に生まれた天使。
例えば、夢を諦めねばならない私達人間。
どうしようもない運命がそれぞれに襲い掛かり、私達から自由を奪っていきます。
しかし、そんな運命を前にして尚、飛び出す気持ちを抑えることなど出来ません。運命なんてもの、"当たり前とされる概念"なんてものは関係ない。どんな運命にも止める事は出来ない不屈の精神性が描かれています。

「白いこの羽が黒く染まっても」は天使ならではの歌詞です。
天使は神に使える為に創られた存在です。故に天使は神に抗ってはならず、自由意志を持ちません。天界ではそれが"当たり前とされている概念"であり、この天使にとっての「Dystopia」です。

しかしながらこの天使はその運命に抗い、自由を求めます。そうして神に抗って自由を求めた天使は自由のない天界「Dystopia」から自由のある地上「Utopia」へと自らの意思で"堕天"しようとします。 「白いこの羽が黒く染まっても」は、そんな主人公である天使が、例え神に背き堕天することになってでも「自由を求めた」ことを表しているのでしょう。

また、この曲を歌う「黒のトロワアンジュ」はこの堕天使のことを指しています。

2番サビ

何度でも 何度でも この手で掻き集めた

地上の隅に散りばめて 砕け落ちた希望

Trespass on :: UTOPIA

キミに寄り添う感情は

いつもいつもやさしさであって欲しい

手を伸ばす 明けない空の下

・Trespass on...侵入する


「Trespass on :: UTOPIA」で「UTOPIAへの侵入」という意味です。
天使にとって「脱獄」は神に抗うこと、「侵入」は堕天することがそれにあたり、どちらも”許されないこと”なのでこのワードが使われていると考えられます。

地上には自由や希望がありますが、それ故にその隅には「砕け落ちた希望」=”苦しみ”も存在します。挫折と言っても良いでしょう。そんな「砕け落ちた希望」を再び搔き集めて、主人公はまた立ち上がり、明けない空の下=「Dystopia」で、「Utopia」へと手を伸ばします。

何度でも立ち上がることで"自分と同じように膝をつき、それでも尚諦めず立ち上がる誰か"である「キミ」に寄り添う。
この旅の先に何があるかも分からない、願いが実るとも限らない。
それでも尚、立ち上がり「キミ」の背中を押すことは本当に正しいことなのか。そしてこの感情は、本当にやさしさなのだろうか。いや、そうであって欲しいと明けない空に祈る姿は自分自身に言い聞かせているようにも思えます。

Cパート

風のように生まれては巡る悲しみがいつか 終焉を迎えて歓びの花はまた芽生えるから

希望が生まれては落ち、希望が持つが故に悲しみが巡る負の連鎖を抜けられないまさに「明けない空の下」の状態です。

しかし、悲しみがあるのはそこに希望があるからであり、悲しみがあるからこそ、その先にある歓びを得ることが出来る。諦めなければいつか悲しみを抜けられる。その先に歓び、幸せが待っているはずだと信じて進み続けること。それがこの曲における「Utopia」の在り方なのです。

ラスサビ

何度でも 何度でも 此処で立ち上がるのは 儚く消えそうな未来を 救い出したいから Make a Jailbreak :: DYSTOPIA 進むべき場所が何処でも キミとキミと交わした約束 歌い続けよう 祈り捧ぐ 辿り着ける日まで

曲の締めくくりです。
ここでは1番サビと同じフレーズを使うことで、「Dystopia」から抜け出せない状況が続きながらも「Utopia」を目指すことを諦めず「辿り着く日まで歌い続ける」ことをそのまま表しています。また、冒頭やサビ終わりに使われているコーラスも同様の意味を持つと考えられます。

そして、この歌は「祈り」です。
希望が絶たれ、自由が存在しない「Dystopia」の中で、"自分と同じように膝をつき、それでも尚諦めず立ち上がる誰か"に向かって歌う"祈りの歌"。
そして、そんなキミの為に、自分の為に、何度でも立ち上がり、その歌を歌い続けるという"約束の歌"でもあります。

「TROISANGES」が本作で提示した「黒トロワ」とは、決して闇落ちするようなものではありません。
「Dystopia」という"黒"の世界の中でも決して諦めず、希望を歌い、聴く人の背中を押そうとする不屈の精神性。それこそが"黒トロワ"です。

そして、どんな状況でも、どうなったとしても、希望に、人の心に寄り添う"天使"であり続ける。
そんな「TROISANGES」の誓い───"約束"こそがこの「Silent Dystopia」なのです。

最後に

考察は以上です。 予防線を張っておきますが、今回書いたものはあくまで私の解釈ですので、あくまで解釈の1つとして読んで頂ければと思います。

追記として最後にもうひとつ、本楽曲の歌い出し(イントロ)・間奏・アウトロに使われているコーラスについても書いておこうかと思います。 この部分、(正直に言うと私の力不足で歌詞を聞き取れませんでしたが、)恐らく「金星」を指す「Venus(ヴィーナス)」がモチーフになっているのではないかと思っています。
金星は日没後に見られる「宵の明星」と、明け方に見られる「明けの明星」に分けられ、前者を「Vesper(ヴェスパー)」又は「Hesperus(ヘスペロス)」、後者を「Lucifer(ルシファー)」と呼びます。
「Vesper」はその他に「晩祷」という意味もあり、晩の祈りという点で見れば、この曲の持つイメージと重なっていることが分かるかと思います。本文でも少し触れましたが、曲を通して最初から最後まで何度も使われることで意味のあるものになる…みたいな?
これ次第ではこの曲自体が「晩祷」の意味合いを持つ可能性すらあります。

また「Lucifer」に関してですが、これは有名な堕天使・ルシファーが元になっており、この曲のテーマである「堕天使」のイメージとも重なっています。
正確な歌詞が聞き取れなかった為、あくまで推測になりますが、この辺りがモチーフになってるのではないかと思います…不明瞭ですいません。聞き取りに自信のある方は是非教えてくださいませ…
また、大切なことを書き忘れていましたが、僭越ながら今回書いたものは作詞の高瀬愛虹さんが以前書かれていたブログを参考にさせて頂きました。素敵な歌詞をありがとうございます。

gamp.ameblo.jp

これは完全に余談ですが、本当に高瀬さんの書く詩が大好きで、トロワアンジュに入ったのもきっかけこそは声優さんや曲からではありますが、高瀬さんがいなかったらここまで好きにはなれなかっただろうなぁと思ってます。オススメは「エンゼルランプ」です。

エンゼルランプ

エンゼルランプ

  • TROISANGES
  • アニメ
  • ¥250


話を戻します。
そんなトロワアンジュですが、11月6日に待望の新アルバム「Loved One」が発売されました。
今回はソロ曲も収録されており、加えてライブ直前での発売ということもあり、必聴のアルバムとなっています。特に表題曲「Dears…」はトロワアンジュの真価を存分に感じられることと思うので、ライブにいかれる方もそうでない方も是非聴いて頂きたいです。

Dears

Dears

  • TROISANGES
  • アニメ
  • ¥255


そしてそして、来る11月17日、3周年ライブになる「Re:ステージ!PRISM☆LIVE!3rd STAGE~Reflection~ 」が開催されます。

今回書かせて頂いた「Silent Dystopia」は前回の 「Re:ステージ! 1stTOUR INTERSECT【仙台】」で披露されています。
黒の衣装を見に纏い、普段とは一転した攻撃的な表情、ダンス、歌声で場を制し、まさに圧巻のパフォーマンスを見せてくれました。

そこから1年。
今回のライブで本楽曲を歌う確証はありませんが、きっと当時より更に進化したトロワアンジュの姿が見られることと思います。

トロワアンジュ、本当に凄いんですよ。
楽曲が持つ壮大な世界観を背負って尚、それを歌い上げる歌唱力、表現力…
是非トロワアンジュにも目を向けて、そのパフォーマンス、世界観を全身で感じ取って頂きたい。

そうすれば、
きっと貴方にも天使が舞い降りることでしょう────。

ここまで読んでくれた方、私の拙い文章にお付き合い頂きありがとうございます。
少しでも本楽曲とトロワアンジュの魅力が伝わっていれば幸いです。

それでは、ライブに行かれる方は共に大宮を沈めましょう。



おわり。